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洋楽のシングル曲と言えばもしかしたらそれだけで構えてしまう人も多いかも知れません。そんな人から洋楽をより深く知りたいと言う人まで幅広い視点で、名曲を紹介していきたいと思います。読んでいて気になった曲があれば是非試してみて下さいね。
Table of Contents
洋楽シングルの名曲集!誰でも知ってる洋楽の名曲
名曲と言われる曲は多々ありますが、より多くの人に知られている曲をここでは取り上げて見ました。
日本ではCMなどに使われたりしている事が多いので、選んだ曲が「何処かで聴いたことがあるなぁ」と感じる曲もあるかと思います。是非チェックしてみて下さい。
Bohemian Rhapsody (Queen)
2018年に公開されたクイーンの映画、ボヘミアン・ラプソディーのタイトルにもなった彼らの代表曲の一つです。
一曲の中に色々なジャンルの音楽が詰め込まれているのですが、全体の流れに違和感がなくなおかつ刺激的な展開をしていく楽曲で、今でも聴いていて飽きない曲ですね。
彼らの真似をしようとしても悪あがきになるだけで、ギターの音の重ねかたや曲の雰囲気など影響を受けているなぁと思う曲はあるのですが、やはり彼らのようにはいかないようです。
月並みすぎる言い方になりますが、後にも先にもクイーンのようなバンドはもう出てこないでしょうね。そんな言葉を言いたくなるくらい伝説的なバンドです。
How Deep Is Your Love (BEE GEES)
「愛はきらめきの中に」の邦題で有名なビージーズの1977年にリリースされたヒット曲です。
映画「サタデーナイトフィーバー」でも使用された楽曲でとても爽やかな雰囲気を持った曲ですね。
メロディの完成度が素晴らしく、聴けば聴くほどにそのメロディの奥深さに感銘を受ける作品だと思います。
甘さと切なさがうまく同居していて、とても穏やかな一日の終わりを感じさせる音が又、哀愁を呼び込みます。
これはまさに神曲と言っても過言ではないと感じますね。
BURN (DEEP PURPLE)
日本ではよくCMや番組の効果音として使用されますが、ハードロックといえばこの曲を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
ギターのリッチー・ブラックモアが冒頭から放つあまりにも有名なギターリフで一気に掴んできて、デヴィッド・カヴァデールとグレン・ヒューズのツインボーカルで爆発的に盛り上がりを見せる一瞬の隙もない名曲です。
「紫の炎」という邦題になっていますが、曲全体から感じるエネルギーはどちらかというと紅蓮の炎という印象ですね。
その後のハードロックシーンに与えた影響は計り知れない程で、こんな曲が作れたらと思ったミュージシャンはとても多いのではないかと思います。
洋楽でバラードの名曲
バラードと言えばメロディがとても重要ですよね。数々のバラードの名曲から特に心に染み渡る曲を選びました。
メロディに浸るという事がどういう事なのか、この曲たちを聴いてもらうととても良く分かると思います。黄昏時に夕陽でも見ながらじっくりと感じてみてください。
DESPERADO (EAGLES)
乾いた大地の土臭さと古き良きアメリカのノスタルジーを感じさせるとても心に染みる名曲ですね。
南部のテキサス、赤土、カウボーイとイメージは尽きませんが、何処か物悲しいメロディが郷愁を誘って、お酒を浴びるように飲みながら泣いているようなそんな風景が見えてくる気がします。
結構沢山のミュージシャンが洋楽、邦楽問わずカバーしていて、やはりとても印象に残る曲なんだなぁと改めて感じます。
夜にバーボン片手に浸るように聴くと入り込みすぎるので注意が必要ですね。
Angel (AEROSMITH)
こんなにも壮大な音楽があるのかと初めて聴いた時に心を震わされたことを今でもはっきり覚えています。僕自身の洋楽体験の始まりでもある曲で、今聴いても本当に良い曲だと思います。
聴いた瞬間から広大な世界がドン!と開けていって、真っ青な空に翼を広げて飛んでいくようなイメージが浮かんできますね。
この曲が出た当時、僕はまだ小学生だったのですが、今まで聴いたどんな音楽とも違っていて、一発で虜になりました。
邦楽では後にB’zなどがこういったタイプのバラードをやるようになりますが、この当時はこんな感じの曲は邦楽になかったので衝撃的でしたね。
YourSong (Elton Jon)
エルトン・ジョン自身もお気に入りの曲らしく、ライブではほぼ欠かさず演奏される音楽シーンに残る普及の名作です。
60年代〜70年代のバラードで現在名曲とされる曲は多いですが、その中でもベスト3に入るくらいに良い曲だと思います。
曲としてはとても聴き慣れた曲ですが、何度聴いても飽きないのは曲のもつ風景がとても穏やかで自然な感じがするからなのかもしれないですね。
色々なミュージシャンにカバーされることが非常に多い曲で、他のミュージシャンの演奏と比べて聴いてみるのもいいかもしれません。この曲がもつ新たな世界が発見できるかもしれないですよ。
洋楽でロックの名曲
ここで選んだ曲は特に楽曲全体から放たれるオーラが尋常ではないものばかり選びました。
ロックのダイナミズムというのはどういったものなのか、彼らの生み出すグルーヴの凄みとはどれほどのものなのか、まずは体験してみてください。
これらの作品のエネルギーをしっかり理解した時、あなたの中の本当のロックン・ロールが目を覚まして咆哮せずにはいられないでしょう。
Achilles Last Stand (Led Zeppelin)
これほど激しさと芸術性が見事に融合したロックソングは珍しいと思います。10分強ほどの演奏が収録されているのですが、一度も中だるみなく一気に駆け抜けていく印象ですね。
ギターリフのカッコよさも群を抜いてますし1人1人の個性の強さが際立ちながらも圧倒的なグルーヴを創造していて、あっという間に聴き終える感じです。
ディープパープルと人気を二分していた印象がありますが、ハードロックシーンに与えたインパクトの種類が少し異なるように感じます。
彼らはより芸術性の高さで勝負していた感じで、今残されている作品を聴き返して見てもかなり味わい深い作品ばかりです。これからも長く聴き続けたくなるバンドですね。
Just Like Honey (The Jesus &Mary Chain)
後にシューゲイザーと呼ばれる事になる音楽ジャンルの原点と言っても過言ではないバンドのデビューアルバムのオープニングを飾る名曲です。
全てのやる気を奪われたのか?と思うくらいダウナーな音ですが、とてもポップで美しいメロディが浮かび上がってきてロックバンドの可能性をより感じさせてくれるような、空気感のある楽曲ですね。
昔はこのやる気がないのにカッコいい感じが”なんか凄くずるいなぁ”と思いながらちょっと憧れました。
2019年に来日した際にライブを観に行ってこの曲の演奏が始まった時、彼らのバックから御光がさしたように感じたのは気のせいだったのでしょうか?それくらい神がかった曲です。
Bombtrack (RAGE AGAINST THE MACHINE)
音楽によってこれほど聴く者のアドレナリンを誘発するバンドもそうはいません。4人が織りなすグルーヴの威力は今までのどのバンドとも違うダイナミズムがあって、少し耳にしただけでいてもたってもいられなくなる程に心が身体が動き出してしまいそうになりますね。
メッセージ的にもかなり深く政治的で権力や差別に対して真っ向から立ち向かっている人達です。
音楽だけでなく実際に政治的な活動も行っていて、歌詞の内容だけでなく自ら行動にでるくらいの意識を持ったまさに戦うバンドですね。
意識の強さは人種の流壺であるアメリカで育った事もあるのでしょうが、政治をしっかり監視して違うと思えばしっかり声を上げる事の大切さを我々日本人も学ぶべきところなんだと思います。全曲おすすめですが、わかりやすく1stアルバムの一曲目を選びました。
洋楽の名曲アルバム
僕自身は普段からアルバムを通して聴くことが多いのですが、その中でも特によく聴くアルバムを上げてみました。
曲単位で聴くのも良いですが、アルバムを通して聴くとより表現の深いところに到達できて心地よい満足感を得ることができます。
一曲聴くだけでは伝わらない魅力がアルバムで聴く事によって伝わりやすいという事もよくあるので、是非試してください。
The Doors (The Doors)
主に1967年〜1972年の短い活動期間にもかかわらず絶大な人気を誇ったアメリカ西海岸のロックンロールバンドの記念すべきデビューアルバムです。
Voのジム・モリソンのカリスマ性は他を圧倒するくらいの存在感で、彼の詩の芸術性は文学としての評価も非常に高くとても優れた表現者だったと思います。
アルバム全体を通して研ぎ澄まされた感性が随所に散りばめられていて、聴いているこちらの感覚に強く訴え掛けてきますね。
何曲かシングルヒットした曲もあるのですが、特に1979年公開の映画、「地獄の黙示録」に使われた曲として有名な「The End」の世界観は圧巻です。
アルバムでもラストに持ってきてあるのですが、曲自体が神秘的で掴みどころがないのにとても深く聴き入ってしまい頭がトリップした感触と共にいつの間にかアルバムを聴き終えています。
Paradise Valley (JOHN MAYER)
ジョン・メイヤーの音楽と言えばどちらかというと都会的なイメージがあるのですが、一つ前のアルバムとこのアルバムではブルースやカントリーなど土臭い音が取り入れられていて、彼の新たな魅力が引き出された感じがします。
僕はこのアルバムをよくバーベキューをやる時にかけます。アルバムの持つ独特の香りが野外にとてもマッチして、ビール片手に空を見上げながらゆったりと聴くのが気持ちいいですね。
アルバムのジャケットで彼が着ている服は日本の「VISVIM」と言うブランドで、ビンテージのディテールを大事にしつつ今の感覚に落とし込んだコレクションを展開するブランドです。
まさにこのアルバムで彼が創り上げた音楽と見事にシンクロしていますね。
とにかく肩の力を抜いて丸い気持ちで聴くとより良い音体験になると思いますよ。
Con Todo El Mundo (Khruangbin)
インストバンドでこれほど注目されたバンドは久しぶりではないでしょうか。基本的にはギター、ベース、ドラムの3ピースで紅一点、ベースのローラ・リーの妖艶な出で立ちが目立ちますが、3人が織りなすゆるっとしたグルーヴが個性的かつ芸術的でとても驚かされます。
アメリカのバンドですが、東洋的な音階を用いることが多く、聴き込む程にエキゾチックで神秘的な雰囲気を持ったグルーヴに身を委ねているとクセになりますね。
このアルバムは2018年リリースの2ndアルバムですが、これきっかけで彼らを知った人も多いと思います。心地よい音楽ですからリラックスしたい時に非常におすすめですよ。
洋楽で女性アーティストの名曲
ここで選んだ曲はより伸びやかな歌声のアーティストを中心に選んでみました。全体的に女性の伸びやかな声は男性に比べ抱擁感と安心感があるように思います。
選考基準としてはより芸術性が高くなおかつポップに響かすことができる圧倒的存在感のミュージシャンを選びました。
それゆえにオリジナリティが強く、一人一人の個性が際立って聴きごたえ十分です。
Hyper-Ballad (Bjork)
ここまで完全オリジナルな音楽を僕は他に聴いた事がありません。彼女をどのジャンルに分類しようとしても無駄としか言いようがなく、もはや彼女自身がビョークと言う一つのジャンルなのではないかと思えるくらいに別次元の存在と言えますね。
この曲はビョークの楽曲の中では比較的ポップソングに近い作りになっているので、彼女を聴いた事がない人にとっては1番聴きやすいかも知れません。
とは言え個性が薄まっている訳ではなく、彼女独特の世界観は健在どころか圧巻で、母国であるアイスランドの大自然を思わせるような雄大かつタフな印象を抱く音楽のオーラに圧倒されます。
今も絶えず進化しているビョークですが、この頃の音は今とはまた違う刺激があり聴いていて楽しいですね。
You Learn (Alanis Morissette)
この曲が収録されたアルバムは全世界で3300万枚もの売り上げを上げ、世界デビューにもかかわらず大ヒットとなったわけですが、シングルヒットとなった曲の中からこの曲を選んだ理由は単純に僕の頭の中に1番残っている曲だからです。
すごく伸びやかなポップ性と音楽全体から滲み出るオルタナティブ感が良い感じに混ざり合い、普遍的なロックソングに仕上がっていて、僕のツボにいちいち入ってくるのでたまに頭の中でループすることがあります。
メロディの展開が自然で気持ちよく流れていくので、音に身を任せるくらいの感覚で聴いてもらえたらこの曲の良さがより伝わるのではないかと思いますね。
Chandelier (SIA)
彼女は基本的に顔を出さない事でも有名なアーティストですが、作る楽曲の良さとハスキーな声の存在感はとてつもないレベルです。
それはこの曲でも発揮されていて、この一曲だけでもかなりの聞き応えですね。
エキゾチックで妖艶な雰囲気で始まって、サビで一気に上昇気流に乗って舞い上がり、大空を自由に飛び回るような感覚になるメロディに強く引き込まれて、夢中になって聴いてしまいます。
歌唱法がとても情熱的で、鬼気迫るくらいのエネルギーを放ちながらほぼ微動だにせず歌う姿は人間を超えた何かを感じるのですが、何かは分からない不思議な感覚に困惑しながら同時に昇天してしまうほどのクオリティで迫ってきます。熱いものが欲しい時におすすめします。
洋楽で男性アーティストの名曲
男性アーティストの方では、より心が軽くなるような曲を選んでみました。単純に楽しくなれる曲やゆったりと自然を感じられる曲、オーガニックというコンセプトで選んだといっても過言ではないと思います。
彼らの曲調や歌声に癒し効果が溢れていますので、ゆっくりと心を休めて下さい。
Happy (Pharrell Williams)
この曲の世界的な盛り上がりはここで語る必要もないくらいですね。とにかく世界中で大ヒットして、YouTubeで色々な国の人たちがこの曲でダンスしていた印象です。
気づけば身体が動いてしまうくらいノリがよく、洋楽に興味のない人も巻き込んでしまう程のポップ性があって老若男女問わず好印象な楽曲だったのではないでしょうか。
流行り過ぎたものは大抵チープになりがちですが、この曲はいつまでも色褪せることなく、時が経つにつれさらに輝きを放っているように僕には思えます。
ファレル自身が表に出ても輝く人ですが、プロデュースなど裏方に回ってもクオリティが高くて、数々の曲をヒットさせているのでこの曲だけでなく色々な角度から楽しめるアーティストだと思います。
Have It All (Jason Mraz)
どこをどう切り取っても最高のポップソングと言ってもいい完璧な作品です。特にサーフ系ミュージシャンという位置づけではないのですが、サーフミュージックとしてとても人気の高い人で、かなり爽やかな音楽を奏でるミュージシャンですね。
この曲もゆったり和みのある音なのですが、メロディに隙がなくあっという間に聴き終える感じで、こんな曲をそばで弾き語りでもされたらクラッときてしまうのでしょうね。
誰もが好きな歌などないと思いますが、この曲が嫌いと言う理由が見当たらないですし唯一理由があるとすれば嫉妬しているとしか思えませんね。
Curls (Bibio)
彼の作品全体に漂っている自然の風景がこの曲では特に色濃く反映されているように思います。
この曲が収録されたアルバムでも美しい自然とケルト音楽や民謡など昔からある古典的なものと、それらを使ってサンプリングした音とをうまくミックスして、今の感覚に落とし込むセンスに脱帽しますね。
曲の節々からオーガニックな雰囲気が漂っていて、瞳を瞑るだけで川のせせらぎや木々の擦れる音、野鳥のさえずりなどがゆるりとした時間の中で流れてきます。
ここまで木漏れ日を感じさせる音楽は珍しいので、ゆったりした時間の中でフィールドセッションした映像と共にこの曲を楽しんで貰えたらと思います。
洋楽で80年代の名曲
80年代と言えばとても華やかなイメージがあると思いますが、時代の移り変わりに非常に敏感な時代だったのかもしれません。
スーパーがつくほどのアーティストが現れた時代でもありますが、彼らが抱えた闇も名声が轟くに従って大きくなっていったように感じます。
ある種彼らの決意がより芸術性を高めたのかもしれないですね。
Man In the Mirror (MICHAEL JACKSON)
80年代と言えばマイケル・ジャクソンという定着したイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。
彼ほどキング・オブ・ポップという肩書きがふさわしいミュージシャンはいないと思いますし、その名にふさわしく素晴らしい楽曲を残してくれています。
その中の一曲がこのマン・イン・ザ ・ミラーなのですが、作詞作曲はマイケル本人ではありません。
ですがこの曲を世に出した彼の想いは計り知れないほどの苦難と葛藤があったのだと思います。
歌詞にもあるようにかなり政治的なメッセージを含んでいますが「まずは自分自身が変わる事が世界を変える鍵になる」というシンプルだけどとても大事なことを伝えていますね。
人は得てして目の前の事に必死になりがちですが、政治経済を大き過ぎる事ととらえずにものごとの本質を見極めようと努力すれば、選択の基準も変わってくるのではないでしょうか。
Purple Rain (Prince)
マイケル・ジャクソンが80年代の表のスーパースターだとすれば、プリンスは80年代の裏のスーパースターだと言っても異論を唱えるひとはほぼいないのではないでしょうか。
この曲はプリンス本人が主演した映画「パープル・レイン」のメインテーマ曲でもあり、とても切ないバラードです。
プリンスの良い意味での分かりやすい部分が凝縮された曲で、美しく儚いメロディに時折間に入ってくる情熱的なギタープレイが又、哀愁を誘って紫の雨の向こうに黄昏を感じるようなとても情緒のある音の風景が広がります。
こういう芸術的に優れた作品に出会うと音楽の奥の深さを感じて、すごく幸せな気持ちになりますね。
Paradise City (GUNS N’ ROSES)
80年代中期にメインストリームに登場してから瞬く間に人気を獲得し、モンスターバンドへとステップアップしていった、世界でもかなり成功した部類に入るロックバンドです。
この曲は主にライブのラストに演奏される事が多く、最高のエンディングを迎えるのにもっともふさわしい楽曲だと思います。
彼らがどれだけ意識したかは分かりませんが、80年代の華やかな時代から90年代の内向的な時代に移行する最後の打ち上げ花火のようですね。
これほど豪快で尊大なロックバンドは今は特に出てきにくいと思いますが、何にも縛られない最強感は当時はすごく憧れました。
紆余曲折あり、メンバーが脱退したり、又戻ってきたりとファンはドギマギさせられっぱなしですが、この不安定感も大きな魅力なんだと思います。
洋楽で90年代の名曲
90年代の代名詞と言えばやはり「グランジ」というジャンルになるでしょう。80年代の華やかさからは一転、夢や希望など過去の話でただくだらない現実が目の前に転がっているだけ、とでも言わんばかりにディストーションギターに乗せた叫びが人々の共感を得て、オルタナティブが一気にメインストリームに躍り出た時代だったと思います。
その後のロックシーンに多大な影響を与えたミュージシャンが沢山登場した時代でもあり、とても重要な年代だと思います。
Smells Like Teen Spirit (NIRVANA)
この曲が90年代をもっとも象徴した楽曲だと言うことに異論のある人は少ないのではないかと思います。
「グランジ」と呼ばれるジャンルの象徴的なバンドで80年代の華やかな雰囲気に対しての強烈なカウンターとして多くの人々から絶大な支持を受けて、急激にスーパースターに上り詰めてしまいました。
ただその事がVoのカート・コバーンの精神に大きなダメージとなり、それだけが原因というわけではないでしょうが、銃で頭を撃ち抜いて自殺してしまいます。
この曲の持つ投げやりながらも未来の見えない自分や、社会に対しての不満や不安が凝縮されたメッセージは、現代の世界においてもいまだに解決の意図が見えない社会問題として人々に突きつけられていますね。
Creep (RADIOHEAD)
上記のニルヴァーナの曲と共に90年代を代表する楽曲と言われ、それだけに彼らにとって初期の活動の妨げにもなった曲です。
静から動、動から静の繰り返しで曲は進んでいきますが、その変化する間とタイミングが絶妙で憂いを帯びたメロディと共に圧倒的なセンスを感じます。
これ以降レディオヘッドはどんどん変化、進化していきますが、その原点としてこの曲があると言うことが彼らにとっての財産になっていると思いますね。
2003年のサマーソニックで彼らを観た時に長らく封印していたこの曲が久々に演奏されました。まさか聴けるとは思っていなかったのでとても嬉しかったのを覚えています。
Suck My Kiss (Red Hot Chili Peppers)
2000年以降の彼らのメロディを大事にした楽曲も素晴らしいですが、90年代のハードコア、Hip Hop、ファンクなどのミクスチャーロックで破天荒なパフォーマンスを炸裂させていた頃の彼らもとても魅力的でした。
この曲はどのパートのどの部分を切り取っても刺激的な演奏になっていて、それが一つの塊のエネルギーとなって爆発する様がたまらなくカッコいい曲ですね。
彼らはこの曲のライブパフォーマンス中にサビ前のある部分でベースのフリーとVoのアンソニーが足を蹴り上げるように交差させるシーンがあるのですが、初めて観た時は鳥肌が立ちました。ライブではほぼ毎回に近く演奏される曲なので、是非おすすめしたい曲です。
洋楽で最近(2000年代)の名曲
2000年以降は多種多様なジャンルが注目されているように思います。中でもテクノ、エレクトロニカなど、今まで生楽器じゃないと認めてもらいにくかったジャンルの音楽が注目され始めたのも2000年くらいからでした。
もちろんそれまでもヒットしていましたが、どちらかというとアンダーグラウンドな存在だったと思います。
それがジャンルとして多様な音を鳴らすアーティストが増えて、選択肢が多くなったのが要因なのではないかと思いますね。
In the Morning (RAZORLIGHT)
軽快なドラムから始まり如何にもUKロックといった感じのギターのリフが乗り、心地よいロックン・ロールに自然とリズムをとってしまうほど馴染みの良い音楽です。
爽やかさと骨太なサウンドがうまく融合していて、1度聴くだけでしっかりと身体に馴染んでくるような感覚になり2度目に聴く頃にはすでに歌えてしまうくらいポップな仕上がりになってますね。
パンクやガレージロックの荒い良さも兼ね備えながら、ここまで清涼感のあるバンドは余り無いと思います。
2005年AWのディオールオムのファッションショーでこの曲が使われていましたが、「グラムロック」をテーマにしたこのショーに見事にハマっていて、記憶に残る伝説のショーとして語り継がれています。
Wide Open (The Chemical Brothers)
イングランドのテクノ、エレクトロニックミュージックユニット、ケミカル・ブラザーズとアメリカのインディーロックのスター、ベックがコラボレーションしたそれぞれの個性が喧嘩せず、見事に融合した奇跡の一曲がこの曲です。
どちらかの良さに偏ることなく、しかもここまでの名曲に仕上げられた彼らの才能には脱帽しかありません。
ケミカル・ブラザーズらしいクールかつ煌びやかなサウンドにベックの声で美しく柔らかいメロディが奏でられて、儚く切ない内容の詩が丁寧に色付けられていく様はキャンバスに魂を込めて絵を描くようにゆっくり時間をかけて表現されているようです。
僕自身、何度聴いたか分からないくらい気がついたらこの曲をかけています。
One More Time (Daft Punk)
2001年にリリースした2ndアルバム「ディスカバリー」からの先行シングルとしてカットされ、全世界のクラブアンセムになって大ヒットしたビンテージディスコ感満載の超名曲です。
アフロ頭にミラーボールのキラキラレインボーカラーが散りばめられて、ボーカルエフェクトの未来感も相まってまったく新しい音世界が広がっていきます。
テクノ、エレクトロニカと言うジャンルはたいして珍しくも無いですが、こんなに70’s、80’sを感じさせるミュージシャンはなかなかいませんね。
新しくもあり懐かしくもある、ある種の普遍性をメッセージとして伝えたければこのようなアプローチになるのは自然な事なのかも知れません。
プロが勝手に選ぶ洋楽ランキング
ここで選んだ曲は完全に僕自身の趣味で選曲しました。普段はいわゆるインディーロックと呼ばれるジャンルをよく聴くのですが、インディーロックと一言でいっても音の種類は様々です。
正直メインストリームで売れているアーティストに比べて分かりにくい音楽性のミュージシャンが多いと思います。
ですが、芸術性という意味ではかなり高いアーティストが多いと思いますので、美術館に行くような気持ちで先ずはチェックしてみてはいかがでしょうか。
Pretty Pimpin (Kurt Vile)
彼の音楽は素朴の中にクールがあり、土っぽくも洗練された音でフォーク、カントリー、ロックン・ロールを彼の感性でブレンドして鳴らした究極にかっこいい音楽です。
それこそローリングストーンズやボブ・ディランを彷彿とさせるようなビンテージ感とグランジ以降のインディーロック感を合わせ持った、選ばれた人だけが鳴らしてしまえる非常に珍しいタイプのカリスマミュージシャンですね。
彼のファンは業界人も多く、玄人の耳をも唸らせるとても聴きごたえのある音で毎年ロックフェスに引っ張りだこです。
見た目のクールさやファッション的にも優れた人で、この曲のPVもとても魅力的なので是非チェックしてみて下さい。
Biscuit Town (King Krule)
久しぶりにこのような圧倒的オリジナリティを持ったミュージシャンが現れましたね。一聴すると非常にダウナーな世界観がひたすらに垂れ流されているようですが、音の入れ方、抜き方のセンスが抜群でとても洗練された感覚の持ち主だと言う事が分かります。
音楽的にはポストパンク、ジャズ、フュージョン、Hip Hop、インディーロックと言ったジャンルを取り入れた音楽性で、非常に高い評価を受けています。
この曲は若い世代の心の奥底にある悲痛な叫びが聴くものの心に突き刺さり、聴けば聴くほど身体にのし掛かってくるような重さを感じるのですが、同時に優れた芸術性を感じる、唯一無二の作品です。
Death in Midsummer (Deerhunter)
インディーロックの代名詞的レーベル、4AD所属のアーティストで、カルト的人気を誇る知る人ぞ知る存在のグループです。
アメリカ合衆国のミュージシャンなのですが、ブリティッシュロックを感じさせる音楽性で、良い意味でアメリカっぽくない音を鳴らすバンドですね。
この曲の持つポップで幻惑的な世界観に強い中毒性を感じますが、彼らのアルバムを聴くとその才能の奥深さが感じられて、よりこの曲の良さが伝わるのではないかと思います。
初めて聴いた時から感じたメロディラインの新鮮さは未だになくなることはなく、その心地よさを感じたくて何度も聴いてしまいます。
【カテゴリー】洋楽おすすめシングル(オムニバス)
まとめ
今回、この記事を書くために洋楽の歴史を振り返ってみましたが、改めてその奥の深さに恐れ入った感でいっぱいになりました。
次から次に頭の中に名曲が溢れ出てきて、収拾がつかなくなりパンクしそうになりましたね。
中には泣く泣くリストから外した曲もあって、これを書いている今でもこれでよかったのかなぁなんて考えてしまいます。
ただ選んだ曲はどれも間違いなく名曲ばかりなので、是非参考にしていただきたいです。
漏れてしまった曲は又、別の機会に紹介していきたいと思います。では、又チェックしに来てください。
洲見定彦:ミュージックコンサルタント
洋楽邦楽問わず音楽に精通し、店舗経営者などから「お店に相応しい音楽をセレクトして欲しい」という依頼を多数受ける。
お店の雰囲気や客層に合った音楽をセレクトすることで、良いPRになると評判を呼び、ミュージックコンサルタントとして現在活躍中。