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洋楽のインストについての紹介ですが、日本では音楽といえば歌が入っているというイメージを持っている人が多いのではないでしょうか?この記事では洋楽で歌が入っていないインストの魅力を紹介したいと思います。是非参考にしてみて下さい。
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洋楽のおすすめインストゥルメンタルランキング
ここでは、僕自身が普段から聴いているおすすめのインストゥルメンタルアルバムをランキング形式で紹介したいと思います。
何度聴いたかわからないほど聴いてきたアルバムたちです。一枚でも皆さんのレパートリーに加わってくれればいいなぁと思いますね。
1位:Syro (Aphex Twin )
前作から13年ぶりにエイフェックス・ツイン名義でリリースされ、グラミー賞までとってしまった超名作アルバムです。やはり彼が操るドラムンベースは独特ですね。
ややこしいようで非常にキャッチーに響いてきますし、ある意味分かりやすくまとめるのがとても上手いと思います。色々な名前で活動している人ですが、やはりメインはエイフェックス・ツインなのかもしれませんね。
全編刺激的なリズムを展開していて、そこに乗ってくるメロディが幻想的で、夜の街のネオンが高速で飛び交ったりスローになったりを繰り返す映像が浮かんできます。夜のドライブにおすすめです。
2位:EMOTION & COMMOTION ( JEFF BECK )
スタジオアルバムとしては2003年以来、7年ぶりにリリースされたアルバムで、ギター好きには待ちに待った作品だったと思います。
ジェフベックと言えばテクニカルなギタープレイを期待される方も多いとは思いますが、今作はどちらかというと落ち着いた雰囲気で、彼の独特のギタートーンを楽しむ作品になっています。
カバー曲やボーカルゲストを迎えた曲と、今までのアルバムには余りなかった試みがあり、彼の心境の変化が伺えます。作品全体に流れるゆったりとした空気感に心が癒されますね。
3位:The Melody At Night , With You ( Keith Jarrett )
ジャズというと落ち着いた雰囲気を思い浮かべる人は多いと思いますが、その中でもピアノソロは最高にまったりとできます。
その最高にまったりの究極と言っても過言ではないのがキース・ジャレットのこのピアノソロアルバムです。
病気のためしばらく活動を自粛していたようですが、1998年に自宅で録音した本作で電撃的復活を果たしました。
今までライブではカバー曲をよく演奏していたようですが、このアルバムではカバー中心の作品になっていますね。
僕自身もよく聴くアルバムで、とくに夜、部屋を薄暗くして、ワインなど嗜みながら聴くと、美しく儚げな雰囲気にどっぷりつかれますよ。
年代別おすすめインストゥルメンタル
次は、年代別のおすすめインストを紹介します。
80年代:Computer World ( KRAFT WERK )
ドイツ発のテクノ、エレクトロニカグループの80年代初頭にリリースされた傑作アルバムです。現在ではエレクトロニックミュージック界のビートルズとも評される偉大な存在で、デヴィッド・ボウイやジョイ・ディヴィジョンなどに多大な影響を与えた正にザ ・クラッシックテクノと言っても良いグループでしょう。
アルバム全体に流れるメロディが印象的で、ドリーミーでノスタルジックな感覚が全体を覆っているのですが、所々の音にエッジがあり、アルバムに締まりを与えているあたりに彼らのセンスを感じますね。
インストゥルメンタルグループにも関わらず、メッセージ性の強いバンドで、何を彼らが表現しようとしているのかいちいち目が離せません。
90年代:Dig Your Own Hole ( The Chemical Brothers )
彼らほど分かりやすくカッコいいテクノ、エレクトロニカデュオは他に見当たりません。彼ら独特のブレイクビーツを基本とし、テクノとロックを奇跡的な塩梅で融合して、ジャンルの壁を見事に超えてしまい、今までに類を見ない成功をおさめてしまったテクノ系ミュージシャンですね。
ロックフェスでもトリをつとめるくらい人気、実力、カリスマ性を兼ね備えたアクトで、インスト系ミュージシャンでは珍しいくらいグラミー賞やヒットチャートでは常連になっています。
特にこのアルバムは彼らのブレイクのきっかけになった曲も入っていますし、入門編としては最適だと思います。
2000年代:Rock Action ( MOGWAI )
基本的にはインストゥルメンタル主体のポストロックバンドで、静と動を繰り返しながらエネルギーを充満させていくようなサウンドが特徴的な音楽です。
静のパートでは限りなく美しく、儚げな音色を鳴らすのですが、動のパートに移行すると洪水のように音のうねりを作り出し、全てを飲み込まんとする勢いに圧倒されますね。
このアルバムでは比較的、静のパートが多く、ゲストボーカルを迎えたりと今までになかった試みをしています。
その分、彼らの持つ美しいメロディが際立っていて、トリップ感を全身で味わう感じが、僕は気に入っています。
2010年代:The Elder Scrolls V: Skyrim : ( Jeremy Soul )
2011年に発売されたオープンワールドアクションRPGゲーム、スカイリムのサウンドトラックです。剣と魔法とドラゴンというゲームではよくある設定ながら、内容は壮大で奥深く、どこまでも広がる世界観に圧倒されますが、音楽も美しくゴージャスで味わい深い仕上がりになっていますね。
最近のゲームでは当たり前になったオープンワールドの先駆けの様な作品で、発売から10年ほど経っているのに未だにプレイしている人が多い超名作です。
僕もプレイしていますが、ゲームが面白いのは勿論の事、音楽の完成度が信じられないくらいヤバイ出来です。
ゲームの世界観にこれ以上無いくらいにハマっていて、荘厳な音世界に感動すら覚えますが、サウンドトラック単体で聴いても涙が出るくらい美しい作品です。
2020年代:Mordechai ( Khruangbin )
アメリカ、テキサス州出身のエキゾチックファンクトリオ、クルアンビンの3rdアルバムです。前2作はインストゥルメンタル中心でしたが、今回はボーカルが入っている率がかなり上がったので取り上げるのはどうかなぁ?と一瞬思ったのですが、歌というより楽器の様な感覚で取り入れられているので、入れて見ました。
彼らの持つ洗礼されながらも何処か懐かしい、牧歌的なサウンドは健在ですが、ボーカルが入った事でより深みが増したように感じるのは、きっと僕だけではないはずです。
彼らの音楽は夕日が良く似合うように思います。休みの日の午後、まったりとした時間を過ごしたい時におすすめします。
おすすめインストゥルメンタルアーティスト
沢山いるインストゥルメンタルのアーティストの中から特に聴いて欲しい人たちを選んでみました。ジャンルは様々ですが、どのミュージシャンも芸術性の高い人たちです。よかったら参考にしてみて下さいね。
Bill Evans
モダンジャズの巨匠の1人で、ジャズピアニストと言えばビル・エバンスと言われるくらい多くのミュージシャンに影響を与えた存在です。
ジャズと言えば難しい音楽と思われる方も多いかもしれませんが、そんな人にこそビル・エバンスは聴いていただきたいですね。哀愁漂うピアノが特徴的で、ソロのアルバムとトリオ編成のアルバムでは印象は大分変わります。
ソロの落ち着いた雰囲気とは打って変わり、トリオ編成でのインプロビゼーションを影響し合いながら繰り出す様は、お互いへのリスペクトを感じながら楽しんでプレイしている事が凄く伝わってきて、聴いているだけで幸せな気分になります。
DAFT PUNK
フランスのエレクトロニック・ディスコファンクデュオで、フルフェイスマスクの見た目がポップさとアート性を同時に感じさせるアーティストです。
音楽の方もポップでキャッチーながら芸術性も高く、絶妙なバランス感覚で僕らの耳を魅了してくれますね。彼らの音楽は刺激的ではあるのですが、聴いているととても落ち着きます。
色々なミュージシャンとのコラボレーションも多く、曲ごとに色々な特色があって、アルバム自体が楽しさ満開な感じなのですが、何処かレトロで心地よくて一度アルバムを聴き出すと繰り返し聴いてしまいます。
ハウスやエレクトロニックミュージックが苦手な人でも聴きやすいので是非試してみてください。
Buttechno
ロシアのアンダーグラウンドシーンを代表するプロデューサー、パベル・ミリヤコフのプロジェクトの一つで、独自の成長を見せるロシアのテクノシーンのカリスマ的存在なアーティストです。
前衛的なアプローチを見せつつ、曲によればポップで分かりやすいサウンドを聴かせてくれる視野の広さは驚異的ですし、音楽的懐の深さに思わず顔がにやけてしまいますね。
ロシアのファッションデザイナー、ゴーシャ・ラブチンスキーと共にロシアのアートを世界レベルに押し上げた功績は称賛に値しますが、その後の活躍を考えるとそれも通過点の一つだったのかもしれません。
ジャンル別おすすめインスト
ここでは色々なタイプのインスト曲をカテゴリーごとに紹介したいと思います。インストゥルメンタルアーティストではない人たちも含まれていますが、優れた楽曲であれば関係なく選んでみました。是非聴いてみて下さい。
R&Bインスト:Philly Dog ( The Mar – Keys )
アメリカ合衆国テネシー州メンフィス出身のR&B、ソウルインストゥルメンタルバンド、マーキーズの1966年に発表されたアルバム、”ザ グレイトメンフィスサウンド”からのヒット曲です。何故この曲を選んだかというと、単純に聴いていて僕が個人的に気持ちがいいからです。
とても分かりやすく楽しいサウンドに、いちいちカッコイイフレーズが散りばめられていて、何度聴いても飽きませんね。
特に世界的に物凄く人気があったわけではないと思いますが、ザ メンフィスなサウンドを聴きたくなった時に手にしてしまいます。玄人好みの音だとは思いますが、ソウルを感じたくなったら是非聴いてみてください。
ギターインスト:Eruption ( VAN HALEN )
ギタリスト史上、もっとも偉大なアーティストの1人として数えられる事間違いなしのスーパーギタリスト、エドワード•ヴァンヘイレン率いるヴァンヘイレンの1stアルバムに収録されている、当時世界に衝撃を与えたギターインストゥルメンタル曲です。
タッピングと言われる奏法を発明した訳ではないのですが、それを最も世の中に広めた功績は大きく、憧れのギタリストとして今でも多くのミュージシャンに影響を与えています。
ステージで演奏する時、初期の頃は背中を向けてアンプの方を向きながらタッピング奏法をやるものですから、最初はどうやって弾いているか検討も付かず、まるで魔法のように感じたそうです。
既に亡くなっていますが、永遠に色褪せる事なく人々の記憶に刻まれていくミュージシャンだと思います。
泣けるインスト:Under the Badhi Tree ( Lars Jansson )
こんなにも人の心を穏やかに、優しい気持ちにさせてくれる曲はそうそう無いと思います。北欧ジャズの巨匠、ラーシュ•ヤンソンの美しくも儚い、しかしどこまでも澄み渡る風景のような曲で、人の心の奥底にある柔らかさ、刹那さを拾い上げて包み込んでくれる様な感触を感じさせてくれますね。
菩提樹にもたれてゆったりと座りながら、郷秋に思いを馳せる様がぼんやりと浮かんできます。北欧のジャズは全体的に爽やかな曲が多い印象ですが、特にラーシュ•ヤンソンの音楽はカラッとした空気感を感じます。
彼の出身地でもあるスウェーデンの街並みにとても良く合う音楽なので、爽やかな印象を受けるのかもしれませんね。
激しいインストバンド:In to The Arena ( Michael Schenker Group )
スコーピオンズやUFOなどのワールドワイドなバンドに在籍した後、自身をリーダーに据えたハードロックバンド、マイケルシェンカーグループのデビューアルバムに収録されたギターリフが最高にカッコいいインスト曲です。
インストバンドではないのですが、素晴らしく良い曲なので選んでみました。特徴的なギターリフで始まり、スリリングな展開を見せていきますが、それも全部最後にくる泣きのギターに繋がる布石だと思うと、一つ一つのセクションの意味がとても重要に感じてきます。
昔、B’zの松本孝弘が自身のカバーアルバムで演奏していたのを聴いて、僕はこの曲を知ったのですが、改めて本人のバージョンを聴くと良くできた曲だなぁと感心させられますね。
【カテゴリー】洋楽のおすすめアルバム
まとめ
何か音楽は聴きたいけど、人の歌声はしんどいなんて事が時間帯によってあるんじゃないかと思います。例えば早朝や深夜など、もしくは疲れている時などに声の入っていないインストゥルメンタル曲を身体が自然と欲しがるなんて事は僕に限らずあるでしょう。
そんな時に今回のテーマを参考にしていただけたら、より皆さんの音楽ライフが充実するのではないかと思いますので是非試してみてくださいね。では又次回、何かしらのテーマでお会いしましょう。
洲見定彦:ミュージックコンサルタント
洋楽邦楽問わず音楽に精通し、店舗経営者などから「お店に相応しい音楽をセレクトして欲しい」という依頼を多数受ける。
お店の雰囲気や客層に合った音楽をセレクトすることで、良いPRになると評判を呼び、ミュージックコンサルタントとして現在活躍中。